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副業エンジニアの確定申告完全ガイド【SES・受託開発・SaaS収入】
副業エンジニアの確定申告を、税理士がエンジニア業務に特化して完全解説。SES・受託開発・SaaS収入の所得区分マッピング、エンジニア業務が源泉徴収対象外である根拠、エンジニア特有経費12科目、フリーランスエージェント手数料処理、Apple/Google・GitHub Sponsors等の海外プラットフォーム収入、青色申告で65万円控除を取る要件まで実務目線で網羅します。
🏆 結論:契約形態と業務内容で所得区分が分岐。受託・SaaSは事業所得認定が現実的
副業エンジニアの所得区分は契約形態で大きく異なります。準委任・派遣のSES(給与)は給与所得、業務委託のSES・受託開発・SaaS収入は雑所得(業務)または事業所得です。エンジニア業務は原則として源泉徴収の対象外(士業・原稿料等の限定列挙に該当しない)のため、報酬は満額振込されます。受託開発・自社SaaSは継続性・営利性の証明が容易で事業所得認定されやすく、青色申告65万円控除+損益通算で年20万円超の節税効果が見込めます。海外プラットフォーム収入は外貨換算と消費税の扱いに注意が必要です。
副業エンジニアの3つの契約形態と所得区分
エンジニアの副業は、契約形態と業務内容により所得区分が大きく異なります。確定申告の最初のステップは、自分の収入が何の所得かを正確に判定することです。エンジニア副業の主要な働き方
| 働き方 | 契約形態 | 所得区分 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| SES(業務委託) | 準委任契約・業務委託 | 雑所得or事業所得 | レバテックフリーランス・直接案件 |
| SES(派遣) | 労働者派遣契約 | 給与所得 | 派遣エンジニア・客先常駐 |
| 受託開発 | 請負契約 | 雑所得or事業所得 | Web制作・アプリ開発・システム構築 |
| SaaS自社運営 | 利用者との直接契約 | 事業所得 | サブスクSaaS・モバイルアプリ |
| アプリストア収入 | プラットフォーム規約 | 事業所得or雑所得 | App Store・Google Play |
| 技術書執筆 | 出版契約 | 雑所得or事業所得 | 技術書・Zenn・Qiita Books |
準委任SESと派遣SESの判別
「SES」と一括りにされがちですが、準委任契約と派遣契約では所得区分が決定的に異なります。| 判定要素 | 準委任SES(雑/事業所得) | 派遣SES(給与所得) |
|---|---|---|
| 指揮命令 | エンジニア自身(自己責任) | 派遣先の上司 |
| 勤務時間管理 | 自由(成果物ベース) | 派遣先のタイムカード |
| 設備・道具 | 自己負担(PC等) | 派遣先支給 |
| 複数契約 | 自由 | 派遣元との雇用契約のみ |
| 経費計上 | 可能 | 不可(給与所得控除のみ) |
エンジニア業務は源泉徴収の対象外
副業ライターと大きく異なる点として、エンジニアの業務報酬は原則として源泉徴収の対象外です。源泉徴収義務の対象報酬は限定列挙
所得税法第204条第1項により源泉徴収義務がある報酬は以下に限定されており、エンジニア業務は含まれません。| 源泉徴収対象 | 源泉徴収率 |
|---|---|
| 原稿料・講演料・翻訳料 | 10.21%(100万円超部分20.42%) |
| 弁護士・税理士等の士業報酬 | 10.21%(100万円超部分20.42%) |
| デザイン料・著作権使用料 | 10.21%(100万円超部分20.42%) |
| 芸能人・モデル等の報酬 | 10.21%(100万円超部分20.42%) |
エンジニアでも源泉徴収される例外ケース
ただし、以下のケースではエンジニアでも源泉徴収されます。| ケース | 源泉徴収の理由 |
|---|---|
| 技術書の執筆 | 原稿料として源泉徴収 |
| 技術系メディアへの寄稿 | 原稿料として源泉徴収 |
| 技術勉強会・セミナーの講演 | 講演料として源泉徴収 |
| Webデザイン込みの制作(デザイン要素が主) | デザイン料として源泉徴収 |
| 著作物としてのソースコード使用許諾 | 著作権使用料として源泉徴収 |
副業エンジニアの所得区分判定
副業エンジニアの収入は雑所得か事業所得かで節税メリットが大きく異なります。受託開発・SaaS収入は事業所得認定されやすい
エンジニアの副業の中でも、以下の業務形態は事業所得認定される可能性が高いです。| 業務形態 | 事業所得認定されやすい理由 |
|---|---|
| 受託開発(請負契約) | 案件単価が高く(数十万〜数百万円)、自己責任で遂行 |
| SaaS自社運営 | 継続的な収益・反復性が明確 |
| アプリストア収入(継続) | プラットフォーム経由の継続的収益 |
| 準委任SES(複数案件) | 複数クライアント・継続契約・営利性 |
事業所得認定の3条件(エンジニア向け)
| 条件 | エンジニア向け具体策 |
|---|---|
| ①開業届の提出 | 「ITサービス業」「システム開発業」等で税務署に提出 |
| ②帳簿書類の保存 | 会計ソフトで複式簿記、領収書をクラウド保管 |
| ③社会通念上の事業性 | 継続的な案件・営業活動の証跡(ポートフォリオ・GitHub等) |
エンジニア業務の必要経費12科目
エンジニア業務に特有の必要経費を、確定申告で使う勘定科目別に整理します。| 勘定科目 | 具体例 | 按分 |
|---|---|---|
| 支払手数料 | クラウドサーバー(AWS/GCP/Azure/さくら)・ドメイン代・SSL | 全額 |
| 通信費 | インターネット代・スマホ代・ポケットWi-Fi | 業務使用50〜70% |
| 減価償却費 | PC・モニター・サーバー・周辺機器(10万円超) | PC4年・サーバー6年 |
| 消耗品費 | キーボード・マウス・USB・ケーブル類(10万円未満) | 業務専用なら全額 |
| ソフトウェア使用料 | JetBrains・Adobe・GitHub Copilot・Notion・Figma | 全額 |
| 研修費・新聞図書費 | Udemy・技術書・公式ドキュメント・有料Qiita | 業務関連なら全額 |
| 支払手数料 | フリーランスエージェント手数料・振込手数料 | 全額 |
| 旅費交通費 | クライアント訪問・勉強会・出張 | 業務分のみ全額 |
| 会議費 | クライアントとの打合せ飲食代(1人5,000円以下) | 業務関連なら全額 |
| 広告宣伝費 | ポートフォリオサイトのドメイン代・名刺・SEO広告 | 全額 |
| 外注費 | デザイナー・他エンジニアへの業務委託 | 全額 |
| 水道光熱費・地代家賃 | 電気代・自宅家賃(事業所得のみ) | 床面積比・時間比 |
クラウドサーバー費用の処理
エンジニアにとって最も頻繁に発生する経費がクラウドサーバー費用(AWS・GCP・Azure等)です。利用形態により処理が異なります。| 利用形態 | 勘定科目 | 注意点 |
|---|---|---|
| クライアント案件用(請求書で経費計上) | 支払手数料 | クライアント請求と相殺可 |
| 自社SaaSの運営費 | 支払手数料 | 事業の継続的経費 |
| 学習・検証用 | 研修費 | 業務関連性を説明できるように |
フリーランスエージェント手数料の処理
レバテックフリーランス・Midworks・PE-BANK等のエージェントを使う場合、手数料(10〜30%)の処理は以下の通りです。💡 エージェント手数料の正しい処理
明細開示型(手数料が明示される):契約金額(額面)を収入計上、手数料を「支払手数料」で経費計上
マージン非開示型(手取り額のみ提示):実際に振り込まれる金額を収入計上(経費なし)
明細開示型のほうが消費税のインボイス対応上も有利です。エージェントから明細を取得しておきましょう。
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詳しくはこちらから →海外プラットフォーム収入の処理
副業エンジニアでは、海外プラットフォームから収入を得るケースが多くあります。特殊な処理が必要です。主要な海外プラットフォーム
| プラットフォーム | 収入の種類 | 処理 |
|---|---|---|
| Apple App Store | アプリ売上・サブスク | 事業所得・USDで収入計上 |
| Google Play | アプリ売上・サブスク | 事業所得・USDで収入計上 |
| GitHub Sponsors | スポンサー収入 | 雑所得or事業所得 |
| Patreon | サポーター収入 | 雑所得or事業所得 |
| Amazon AWS Marketplace | AWS上のサービス販売 | 事業所得 |
| Stripe(決済) | 自社サービス決済 | 事業所得 |
外貨収入の円換算ルール
海外プラットフォームからの収入は、日本円に換算して確定申告します。| 収入のタイミング | 換算レート |
|---|---|
| 取引日(売上計上日) | 取引日のTTM(仲値) |
| 入金日(円口座振込日) | 入金日のレートで実際換算 |
海外プラットフォームの消費税の扱い
| 取引 | 消費税の扱い |
|---|---|
| 海外利用者向けの収入(Apple/Google) | 輸出免税(消費税不課税) |
| 国内利用者向けの収入 | 課税売上(10%) |
| 海外法人へのAWS等支払い | リバースチャージ方式(事業者向け電気通信利用役務) |
確定申告のステップ
副業エンジニアの確定申告手順を整理します。ステップ1:必要書類と収入記録
| 書類・データ | 入手元 |
|---|---|
| 本業の源泉徴収票 | 本業の会社 |
| クライアントへの請求書・契約書 | 自分で発行・保管 |
| フリーランスエージェントの明細 | エージェント管理画面 |
| クラウドサーバーの請求書 | AWS Console等 |
| アプリストアの売上レポート | App Store Connect・Google Play Console |
| 経費の領収書・レシート | 自分で保管 |
| マイナンバーカード | 市区町村役場 |
ステップ2:会計ソフトで帳簿付け
エンジニアならGitHub等の使用に慣れているため、会計ソフトもクラウド型がおすすめです。| 会計ソフト | 月額 | エンジニア向け特徴 |
|---|---|---|
| freee会計 | 980〜2,980円 | API連携・SaaS連携豊富 |
| マネーフォワードクラウド | 980〜2,980円 | 銀行・カード連携が強い |
| 弥生のクラウド | 800〜1,300円 | 最安・初心者向け |
ステップ3:確定申告書の作成と提出
e-Tax(マイナンバーカード方式)が最も効率的です。確定申告書第一表に給与所得(本業)と事業所得or雑所得(副業)を記入し、第二表で「住民税は自分で納付」を選択して副業バレを防止します。事業化の節税効果と独立への準備
副業エンジニアが事業化(青色申告)すると、節税効果が大きく独立への準備にもなります。青色申告の節税効果(年収例)
🧮 副業エンジニアの節税効果試算
本業給与年収700万円・副業エンジニア年収300万円・経費50万円のケース
雑所得(白色申告):所得250万円 × 税率30% = 75万円の追加税負担
事業所得(青色申告65万円控除):所得185万円(250万-65万)× 税率30% = 55.5万円
年間節税額:19.5万円
さらに、赤字の年は給与所得との損益通算で本業の所得税還付。3年間の純損失繰越で将来の黒字とも相殺可能です。
独立への準備としての副業
副業エンジニアの収入が本業を超えるレベル(年収500万円超)になったら、独立を視野に入れたタイミングです。| 独立準備 | タイミング |
|---|---|
| 開業届+青色申告承認申請書 | 副業開始時または独立1〜2年前 |
| クライアント基盤の確立 | 独立6か月前までに3社以上の継続契約 |
| 法人化の検討 | 事業所得800万円超で検討開始 |
| 小規模企業共済加入 | 事業所得が安定したタイミング |
よくある質問(FAQ)
まとめ:副業エンジニア確定申告のポイント
📋 この記事のポイント
- エンジニア業務は原則として源泉徴収対象外(限定列挙に含まれない)
- 準委任SES・受託開発・SaaS収入は雑所得or事業所得、派遣SESは給与所得
- 受託開発・自社SaaSは事業所得認定されやすく青色申告のメリット大
- エンジニア特有経費12科目:クラウドサーバー・ソフトウェア・PC・通信費等
- クラウドサーバー(AWS/GCP/Azure)の海外法人請求はリバースチャージ注意
- フリーランスエージェントは明細開示型が処理上有利
- App Store/Google Play等の海外PF収入は輸出免税+外貨換算
- GitHub Sponsors・Patreon収入も雑所得or事業所得として申告必要
- 青色申告で年20〜30万円超の節税効果が一般的
- 事業所得800万円超で法人化(マイクロ法人)の検討タイミング
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