30万円未満の少額減価償却資産の特例【パソコン・カメラ・車の経費化】

30万円未満の少額減価償却資産の特例【パソコン・カメラ・車の経費化】
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📋 税理士監修 💻 PC・備品の節税 📢 令和8年度改正対応

30万円未満の少額減価償却資産の特例【パソコン・カメラ・車の経費化】

青色申告者なら30万円未満(2026年4月以降は40万円未満)の備品を一括経費化できる強力な節税制度。パソコン・カメラ・自動車などの具体例、年300万円上限の使い方、青色申告決算書の記入方法まで完全解説。改正の最新情報も反映済みです。

🏆 結論:青色申告者の最強節税ツール。年300万円まで一括経費化

少額減価償却資産特例は、青色申告者が30万円未満(2026年4月以降は40万円未満)の事業用資産を取得した年に全額経費化できる制度です。年間合計300万円が上限。通常なら数年かけて減価償却する備品を一括で費用化することで、所得税・住民税を大幅に節税できます。特に決算月直前の駆け込み投資で活用される最強の節税ツールです。

少額減価償却資産の特例とは:制度の全体像

正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(租税特別措置法第28条の2、第67条の5)。青色申告事業者が、取得価額30万円未満の事業用資産を一括で必要経費にできる制度です。

制度の基本要件

項目 内容
適用対象者青色申告の個人事業主・中小企業者等(従業員500人以下)
対象資産取得価額30万円未満(2026/4以降は40万円未満)の減価償却資産
経費化方法取得した年に全額一括経費化
年間上限合計300万円まで
適用期限2029年3月31日まで(令和8年度改正で3年延長)
対象資産の範囲有形・無形・新品・中古すべて対象

令和8年度税制改正の重要変更点

項目 改正前 改正後(2026/4/1以降)
取得価額上限30万円未満40万円未満
年間合計上限300万円300万円(変更なし)
適用期限2026年3月31日2029年3月31日(3年延長)
従業員数要件500人以下400人以下に変更(法人のみ・個人は影響なし)

📢 2026年3月までと4月以降で取扱いが違う

2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満が対象、2026年4月1日以降の取得分から40万円未満に拡充されます。30万円〜40万円の備品購入は、4月以降にすると一括経費化できるためタイミングが重要です。物価高でPCや専門機材の価格が上がっている現状、実務的に大きなメリットがある改正です。

10万・20万・30(40)万円ルールの3制度比較

個人事業主が使える少額償却制度には、少額減価償却特例の他に「10万円未満の即時償却」「一括償却資産(20万円未満・3年均等)」があります。それぞれの違いを整理します。

制度名 対象金額 経費化 対象者 年間上限
少額の減価償却資産10万円未満取得年に全額青色・白色ともなし
一括償却資産10万円以上20万円未満3年均等償却青色・白色ともなし
少額減価償却特例30万円(40万円)未満取得年に全額青色のみ300万円
通常の減価償却30万円(40万円)以上耐用年数で按分青色・白色ともなし

金額別の最適選択フロー

取得価額 推奨処理 理由
10万円未満消耗品費無条件で一括経費化
10万円〜20万円未満少額減価償却特例(青色)or 一括償却資産青色なら一括経費化が有利
20万円〜30(40)万円未満少額減価償却特例(青色のみ)青色のみ使える特例
30(40)万円以上通常の減価償却耐用年数で按分

💡 一括償却資産の隠れたメリット

10〜20万円の資産は「一括償却資産」(3年均等償却)の選択も可能です。少額減価償却特例の300万円枠を高額資産に温存したい場合や、固定資産税(償却資産税)の対象から外したい場合は、一括償却資産が有利です。償却資産税の対象外という点は意外と知られていない節税ポイントです。

少額減価償却特例の対象資産:具体例

少額減価償却資産の特例は、有形・無形・新品・中古を問わず幅広い資産が対象になります。個人事業主がよく購入する具体例を整理します。

対象になる資産(YES)

カテゴリ 具体例
パソコン関連PC本体・モニター・タブレット・iPad・キーボード一式
撮影機材一眼レフカメラ・ミラーレス・動画カメラ・三脚・マイク
事務機器プリンター・複合機・シュレッダー・ホワイトボード
家具・什器事務用デスク・チェア・キャビネット・本棚
車両中古軽自動車・原付バイク・電動自転車
店舗設備業務用冷蔵庫・調理器具・看板
無形資産業務用ソフトウェア・特許権・商標権
リース取得所有権移転外リース取引で取得した資産

対象にならない資産(NO)

対象外 理由
土地減価償却の対象外
建物・建物附属設備原則として高額のため対象外(取得価額が30(40)万円未満なら対象)
事業未供用資産実際に事業に使用していない
貸付用資産主要事業以外の貸付用は対象外
白色申告者の取得資産青色申告者のみ適用可能

パソコン・カメラ・車の具体的な処理例

ケース1:25万円のノートパソコン

業務用ノートパソコンを25万円で購入した場合、青色申告者は少額減価償却特例で全額一括経費化できます。

日付 借方 貸方 摘要
2026/5/10消耗品費 250,000普通預金 250,000業務用PC・少額減価償却特例(措法28の2)

ケース2:35万円のミラーレスカメラ(2026年4月以降取得)

2026年4月以降に取得した35万円のカメラは、改正後の40万円未満ルールで一括経費化可能。3月以前なら通常の減価償却になっていました。

日付 借方 貸方 摘要
2026/5/15消耗品費 350,000普通預金 350,000撮影用カメラ・少額減価償却特例(措法28の2)

ケース3:28万円の中古軽自動車

業務用の中古軽自動車を28万円で購入した場合、新品でなくても少額減価償却特例の対象になります。

日付 借方 貸方 摘要
2026/5/20消耗品費 280,000普通預金 280,000業務用中古軽自動車・少額減価償却特例

ケース4:18万円の業務用ソフトウェア

無形固定資産であるソフトウェアも対象です。クラウドソフトの年間ライセンス料ではなく、永続使用権・買い切り型のソフトウェアが該当します。

日付 借方 貸方 摘要
2026/5/25消耗品費 180,000普通預金 180,000会計ソフト・少額減価償却特例

ケース5:複数台のPC一括購入(11台のケース)

1台あたりの取得価額が30万円未満であれば、複数台数を購入しても各々で特例適用が可能。ただし年間合計300万円が上限になります。

条件 計算
1台あたり価額280,000円(30万円未満)
購入台数11台
合計金額3,080,000円
特例で一括経費化できる台数3,000,000÷280,000=10.71→10台
11台目の処理通常の減価償却(耐用年数4年)

取得価額の判定ルール:総額/単価

「取得価額が30万円未満」かどうかは、消費税の経理方式と単価判定で決まります。これを誤ると特例の適用ができないケースが発生します。

消費税の経理方式による違い

経理方式 判定基準 例:本体価格275,000円・消費税27,500円
税込経理税込価額で判定302,500円→対象外
税抜経理税抜価額で判定275,000円→対象

⚠️ 免税事業者は税込判定

売上1,000万円以下の免税事業者は、消費税の経理方式に関係なく「税込価額」で判定されます。29万円のPCで消費税を入れると31.9万円になるため、対象外となるケースに注意が必要です。

セット品・付属品の判定

パターン 判定方法
PC本体+モニター+キーボード(セット販売)合計額で判定(機能上一体)
PC本体・モニター(別購入)それぞれ単独で判定可能
複数のソフトウェアをまとめて購入それぞれ単独で判定可能
机+椅子+棚(オフィス家具一式)原則として個別判定(別個に機能する)

年300万円上限の使い切り戦略

少額減価償却特例の年間合計300万円は、効率的に使い切ることで節税効果を最大化できます。

年300万円を超える場合の処理

パターン 処理
年合計250万円(300万円以内)全額特例適用
年合計325万円(超過)300万円分は特例・残り25万円は通常償却
年合計500万円(大幅超過)300万円分まで特例選択・残り200万円は別の処理を選択

300万円を効率的に使うコツ

300万円枠を有効活用するには、購入順序と金額の選び方を工夫します。

戦略 内容
①高額な備品を優先29万円より20万円のものから先に枠を消費
②小額品は通常償却に温存10〜20万円は一括償却資産でも処理可能
③決算月直前で投資判断利益が出そうなら特例で一括経費化
④年をまたぐ分散購入12月と1月で分けて両年300万円枠活用

🧮 節税効果シミュレーション(事業所得500万円)

25万円のPC×4台=100万円を購入する場合
・通常償却(耐用年数4年):初年度経費25万円
・少額減価償却特例:初年度経費100万円
差額75万円×税率20%(所得税)+10%(住民税)=22.5万円の初年度節税

特例を使うべき/使わないべき判断フロー

少額減価償却特例は強力な節税ツールですが、状況によっては「あえて使わない」選択が有利な場合もあります。

特例を使うべきケース

状況 理由
当期の利益が大きく税金を圧縮したい高い税率での節税効果
資金繰りを改善したい税負担減でキャッシュ確保
毎年の経理を簡素化したい減価償却の管理が不要
物価上昇で備品が高額化40万円拡充の恩恵を受けたい

特例を使わないべきケース

状況 理由
融資審査が控えている利益を残して財務評価を上げる
青色65万円控除内に収まる所得を翌年に繰り越し可能
翌年以降に大きな利益が見込まれる減価償却で平準化
償却資産税(固定資産税)を避けたい一括償却資産は対象外

💡 償却資産税(固定資産税)との関係

少額減価償却特例で経費化した資産は、その年の所得税では一括費用化されますが、償却資産税(固定資産税)の課税対象になります。一括償却資産(20万円未満)は対象外。資産が多い事業者は、この点も考慮した処理選択が必要です。償却資産税は1事業所150万円超の評価額で課税されます。

青色申告決算書の記入方法

少額減価償却特例を適用するには、青色申告決算書の所定欄に必要な記載をする必要があります。

記入する欄と内容

記入欄 内容
「減価償却費の計算」欄資産名・取得年月・取得価額・必要経費算入額
「摘要」欄「措法28の2」と記載
取得価額欄税抜or税込(経理方式に応じて)
必要経費算入額取得価額の全額(事業按分後)

記入例(25万円のPCを購入したケース)

項目 記入内容
減価償却資産の名称パソコン(MacBook Pro M3)
取得年月2026年5月
取得価額(イ)250,000円
必要経費算入額250,000円
摘要措法28の2

⚠️ 摘要欄の記載漏れに注意

青色申告決算書の摘要欄に「措法28の2」を記載することが特例適用の必須要件です。記載がないと税務署に特例適用が認識されず、後日否認される可能性があります。クラウド会計ソフト(freee・MF・弥生)の少額減価償却特例の機能を使えば自動的に記載されます。

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事業按分が必要な場合の処理

家事兼用の資産(自宅兼事務所のPCなど)は、事業按分後の金額で30(40)万円判定を行います。

家事按分時の判定方法

条件 判定
取得価額(税込or税抜)350,000円
事業使用割合80%
事業分の取得価額280,000円
特例の適用可否28万円<30万円なので適用可
経費計上額280,000円(全額)

注意点として、特例適用の判定金額は事業按分後の額で判断します。35万円のPCを80%事業按分すれば28万円となり、特例の対象内です。

取得時期と適用タイミングの判断

「いつ購入すれば30万円ルールor 40万円ルールが適用されるか」は税負担に直結する重要な判断です。

30万円ルール適用期間(2026年3月31日まで)

取得日 対象金額
2026年3月31日まで30万円未満
2026年4月1日以降40万円未満

30万円〜40万円の備品購入予定がある場合の戦略

2026年3月時点で35万円のPCを購入すると30万円ルール対象外で通常減価償却になります。4月まで購入を待てば40万円ルールで一括経費化可能。物価高で30万円超の備品が増えている2026年は、購入タイミングが大きな差を生みます。

少額減価償却特例の注意点とNG行為

NG行為 リスク
①白色申告で特例適用適用要件違反・否認
②摘要欄に措法28の2の記載なし特例適用が認められない
③税込価額で判定間違い(免税)対象外資産の特例適用
④事業未供用資産の特例適用否認・修正申告必要
⑤年300万円超過分も特例適用超過分は通常減価償却
⑥セット品を分割して判定機能上一体は合計判定
⑦貸付用資産で特例適用原則として対象外
⑧2026/3に35万円PC購入30万円ルール対象外で通常償却

確定申告ドットコムの減価償却サポート

サービス 内容
減価償却方法の選択提案特例/一括償却資産/通常償却から最適選択
取得タイミングの戦略提案30万円→40万円改正の活用
300万円枠の最適活用計画年度内・年度跨ぎの戦略
青色申告決算書の正確な記載措法28の2の記入漏れ防止
償却資産税(固定資産税)対応市町村への申告サポート

よくある質問(FAQ)

少額減価償却資産の特例は白色申告でも使えますか?
いいえ、青色申告者のみが利用できる特例です。白色申告の場合は10万円未満の即時償却または20万円未満の一括償却資産しか使えません。青色申告に切り替えるだけで節税メリットが大きく拡大します。
中古資産でも特例は適用できますか?
はい、中古資産も対象です。新品でも中古でも、取得価額が30万円(2026/4以降は40万円)未満であれば適用可能です。中古車・中古PC・中古機器など、初期投資を抑えたい個人事業主にメリットが大きい制度です。
2026年3月に35万円のPCを買ったらどうなりますか?
30万円以上のため少額減価償却特例の対象外となります。通常の減価償却(PCの法定耐用年数4年)で処理することになります。4月まで購入を待てば40万円未満ルールで一括経費化可能なため、3月末は購入を急がない方が有利な場合があります。
年間300万円を超えた場合はどう処理しますか?
300万円までは特例で一括経費化、超過分は通常の減価償却(耐用年数で按分)になります。例えば325万円分購入した場合、300万円分は特例適用・残り25万円は通常償却とする処理になります。どの資産を特例適用するかは事業者が選択できます。
クラウド会計ソフトの月額利用料は対象ですか?
いいえ、対象外です。月額・年額のサブスクリプション料金は「通信費」または「支払手数料」として通常の経費処理を行います。少額減価償却特例の対象は、買い切り型・永続使用権のソフトウェアなど資産化されるものに限られます。
事業按分が必要な場合はどう判定しますか?
事業按分後の取得価額で判定します。35万円のPCを80%事業按分なら、事業分は28万円となり30万円未満ルール対象内です。経費計上額は事業按分後の金額(28万円)で全額一括経費化となります。
特例適用後の資産は固定資産税(償却資産税)の対象ですか?
はい、対象になります。少額減価償却特例で一括費用化した資産も、市町村への償却資産税の申告対象です(1事業所150万円超で課税)。一方、20万円未満の一括償却資産は償却資産税の対象外です。資産規模が大きくなる事業者は、この点も考慮した処理選択が必要です。
特例を選択しなかった資産は翌年に変更できますか?
いいえ、取得年に特例を選択しなかった資産は、翌年以降に変更することはできません。逆に、一度特例を選択した資産は通常償却に戻すこともできません。決算前に最適な選択を税理士と相談することが重要です。
摘要欄に「措法28の2」を書き忘れた場合は?
特例適用の必須要件のため、書き忘れは特例否認のリスクがあります。確定申告期限内なら訂正再提出、期限後でも更正の請求(5年以内)で対応できます。クラウド会計ソフトの少額減価償却特例機能を使えば自動記入されるため、ソフト活用が確実です。
所有権移転外リースで取得した資産も対象ですか?
はい、対象です。リース料総額が30万円(40万円)未満なら、所有権移転外リース取引であっても特例適用が可能です。リース取得した年の経費に一括計上できます。

📋 この記事のポイント

  • 少額減価償却特例は青色申告者のみが使える強力な節税ツール
  • 取得価額30万円未満(2026/4以降40万円未満)を一括経費化
  • 年間合計300万円が上限・適用期限は2029年3月まで延長
  • 有形・無形・新品・中古すべて対象(土地・貸付用は除く)
  • 消費税の経理方式により判定金額が変わる(免税は税込判定)
  • セット品は機能上一体なら合計額で判定・別個ならそれぞれ単独判定
  • 2026年3月→4月で30万→40万に拡充、購入タイミングの戦略が重要
  • 青色申告決算書の摘要欄に「措法28の2」記載が必須
  • 事業按分後の金額で30(40)万円判定を行う
  • 特例適用資産も償却資産税の対象(1事業所150万円超で課税)

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